第一種電気工事士免状

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新型コロナはひきこもごもの影響をもたらしている

◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします

ご承知のように、今年(2021/令和3年)4月1日以降に第一種電気工事士免状の交付申請を行う人は、合格者に必要とされる実務経験が従来の「3年以上/大学・高専電気工学系卒」「5年以上/それ以外」という規定を改め、学卒等の条件なしで一律「3年以上」へと短縮されることが、今年2月10日に経産省から発表されました。

従来の規定は第一種電気工事士の有すべき資質を「電気工事に関する熟練した施工技術」「臨機応変な対応力」「新しい技術に関する吸収力および適応力」などに重きを置いていたことから決定されていました。

第一種電気工事士制度が上記のような規定とともにスタートしたのは1987(昭和62)年。その当時に比べると現在は工具も施工方法も格段の改良や合理化が図られており、作業効率は著しく向上しています。

そのような状況を考慮し、今回の規定改正に至った訳です。これは以前から業界内で議論になっていたポイントであり、改正が少し遅すぎたのではないかという意見もあるでしょう。しかし、それはそれとして、やはり今回の改正は、いろいろな意味での英断といえるのではないでしょうか。

そう断言する理由の第一は、「電気工事の熟練した施工技術」や「臨機応変な対応力」は学校で習うこと以上に現場で覚えることのほうが多いのではないか、といえるからです。

その点、「新しい技術に関する吸収力や適応力」は学生時代の専門的、学際的な勉強がモノをいう場合も少なくないでしょう。しかし、これとても、最終的に現場でその知識をよりよく生かすには、現場で培われた熟練や経験がなければ、「生きたものにならない可能性」が低くありません。

そういう意味で、今回の改正は非常に合理的ではあるものの、半面、工学系の専門課程でなければじっくり学ぶことが困難な分野があるのも確かです。

それは主に基礎研究の分野ですが、基礎研究をきちんと勉強した人が現場仕事にも熟練した場合に得られる深みというものも、やはりあるはずです。

同時にそうした視点、すなわち専門性の高い生産工学的な観点からの新たな工具の考案や、施工方法の考案がなされるケースもあるはずです。

そのような意味合いからも、電気設備工事の現場からの観点では大歓迎の今回の改正ですが、一方では基礎研究をじっくり修得した人材がある一定数、常に施工会社に入ってきてくれることをも、引き続き期待したいものです。

そのためには電気設備工事会社および業界が、もっともっと魅力的な場であることを目指す必要があります。情報発信のノウハウも含め、そのあたり、業界全体がこれからも考えていく必要があるのではないでしょうか。

新型コロナ禍では、さまざまな業種がひきこもごもの状況に見舞われています。端的には新型コロナとの共生を前提とした場合に必要とされる業種や製品と、あまり必要とされない業種や製品がくっきり分かれるということに、その要因があります。

飲食業界のなかでも、深夜帯をテリトリーとする業種の惨状はまことに気の毒なものがあります。エンタメの世界のように、大勢の人をギュウ詰めに集めることで成り立っていた分野も、いろいろな場面で死活問題が生じています。

一方では新型コロナ禍だからこそ、注目も注文も従来に倍して集まっている分野があります。

電気設備の関係でいえば、その代表は《換気扇》です。この話題は、次号で詳報したいと思います。