ロボットやIoTの積極的な採用 就労人口の減少化

建設・電設業界ザッピング  業界ニュースをクローズアップ58

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新型コロナ下においても建設需要は衰えないが……

◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします

京都・丹後地方のニュースをカバーする地方紙「両丹日日新聞」ウェブ版(9月21日付け)によれば、京都府立福知山高等技術専門学校(職業訓練校)が今年度から《ものづくり基礎科》をリニューアル、中高年および女性向けの科目として建築CAD、住宅デザイン設計、消防設備士の講座を開講。訓練生が前年比で倍増する人気を博しているとのこと。

第二種電気工事士試験を目指す受講生も少なくないようですが、同様の試みは全国的に行われています。

身近なところでは東京の職業訓練校「都立職業能力開発センター」など、関東圏の職業訓練校においても同様で、周知のように、電気設備工事業界にも毎年、コンスタントに人材が供給されています。

しかし、都立職能センターを取材すると、とくに電気工事士を目指す人材は近年、減少気味であるとの話をよく聞きます。

東京電業協会が半世紀以上にわたって運営した東電協スクール(東京電気技術高等専修学校)が先年、惜しまれつつも閉校した事実が象徴するように、電気設備工事の重要性は年を追うごとに重要になりつつあるのに対し、志望者数の伸び悩みは深刻です。

こうした状況を打破するべく、業界団体もさまざまな試みを実施していますが、福知山高等技術専門学校のように、思い切って女性向けの講座を、業界団体および業界企業の連携で開設してみてはどうでしょうか。

あるいは業界団体による工業高校への出前授業は比較的盛んに行われ、好評を博していますが、出前講座の対象年齢をもっと低下させ、小中学校の「科学クラブ」系の部活動などにも、プロの技術者を派遣して「電気設備工事を目指す若者たちの、さらに卵」の育成に努めるというのも、いいのではないでしょうか。

「向こうから来ないのであれば、こちらから行って指導したり啓発したりするアウトリーチ作戦」は、対象年齢を低めることでより効果が増すと思われます。

この9月22日、鹿島建設・竹中工務店・清水建設などスーパーゼネコンを中心に16社の建設有力企業が連携する「建設RXコンソーシアム(ロボット・IoT分野の連携による共通課題解決のための協定)」が発足しました。

業界最大の課題である就労人口の減少化を見据え、ロボットやIoTの積極的な採用による省力化、生産性向上を目指すことを目的とした集まりだ。

とくにロボットの導入は、企業個々で行うにはコスト面の問題があり過ぎることから、各社の連携によって量産化を図り、導入コストを下げるということが今回の連携協定の大きな目的の一つとのこと。

ただ、就労人口の減少化を省力化や自動化で補うのはリーズナブルではあるものの、人の力を借りなくてもいい環境をあまりにも追求すれば、就労人口がたくさん要らない状況を自らつくることにもなりかねない。

そういう意味合いからは、ロボットやIoTの導入はあくまでも人力へのアシストにとどめるような自己抑制も必要なのではないだろうか。

そのような観点からも「建設RXコンソーシアム」の今後の推移が注目される。

日本冷凍空調工業会はこのほど、2021年8月度のルームエアコン国内出荷台数を63万5017台と発表しました。

これは前年8月度に比べると67.5%の増加に当たります。今年の夏は確かに酷暑の連続でしたし、新型コロナウイルスによる感染症拡大防止の観点から、エアコンには従来以上の需要が殺到したということなのでしょう。冬場に向けての動きがさらに注目されます。