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電業特報ロングインタビュー 六興電気株式会社 代表執行役社長 長江洋一

2019/03/01

◇始めに( ワーク・ライフ・インテグレーション/編集部)
 今年で創業70 周年(1949 年5 月創業)を迎える六興電気の社内報『ろっこう』の2019
年新年号が、この稿の締め切り少し前に編集部に届いた。
 巻頭には長江洋一社長による恒例のエッセイが掲載されているが、そこには昨年末に腰部ヘルニアと脊椎狭窄の手術を受けたため、「新年は忘年会もゴルフもキャンセルし、静かな正月を迎えた」とする長江社長の会社観、仕事観、ひいては人生観などが改めて綴られており、目を惹いた。
 六興電気の創業は1949(昭和24)年、法人化は1950(昭和25)年だ。今年は創業70 周年であり、来年(2020 年)は会社設立70 周年に当たる。同時に来年は長江社長が2000(平成12)年に代表取締役(現・代表執行役)に就任してから20 年の節目にも当たる。
 長江社長が就任してからの六興電気は、独自の経営理念に基づく多様な取り組みが行われ、常に業界の枠を超える注目を集めてきたとの評判が高い。「注目」の理由は、たとえば、経営の極度に高い透明性などが求められるため、東証一部上場企業でもごく一握り(現時点で60 社程度とされる)しか実施していない「指名委員会等設置会社(当初は委員会等設置会社)」化を、長江社長は就任4 年目の2004(平成16)年9月に、いち早く果たしていることなどにある。
 非上場企業による「指名委員会等設置会社」化自体が非常に稀な事例で、この一事だけをとってみても、六興電気(長江社長)の経営理念の「独自性」が推察できるだろう(この件の詳細は後述)。
 さて社内報『ろっこう』2019 年新年号に改めて示された長江社長の会社観、仕事観は、「仕事はチームで行う」という章に綴られた次のようなポイントにまとめられる(要約文責・本紙編集部)。
[ 目先の利益を優先して人材を消耗する企業はやがて息詰まる/働き方改革は数値としての労働時間ばかりを問題視する。そこに労働の本質的な喜びは加味されていない/労働の本質的な喜びとは仕事時間の長短とは別の達成感であり、社会への参加意識、仕事を通じての成長などからも総合的に得られるのではないか/ワーク・ライフ・バランスは労働と私生活を切り離した考え方だが、たとえば(長江社長が)六興電気入社前に勤務していたカリフォルニアの会社では、私生活においても社員同士の交流が密で、それが成長の糧にもなった/そうしたワーク・ライフ・インテグレーションと表現される考え方、生き方も否定されるべきではない/他] 今回のインタビューで多角的に語っていただいた長江社長の仕事観、会社観などは、まさにこの《ワーク・ライフ・インテグレーション》という言葉に集約されるのかもしれない。
 もともとワーク・ライフ・インテグレーションは、ワーク・ライフ・バランスの考え方をさ
らに推し進めたものとされる。「仕事」と「生活」を切り離して(対立軸的に)捉え、その量的バランスに主に着目し、両者をシステム的に調整することで労働・生活環境の「改善」を図ろうというのがワーク・ライフ・バランスの考え方だ。
 それに対し、ワーク・ライフ・インテグレーションはそれぞれの人生観をまず中心軸に据える。そのうえでワーク(職業生活)とライフ(個人生活)を柔軟かつ高度にインテグレーション(統合・集約)させつつ、ワーク(仕事)もライフ(個人生活)も同時に充実化を目指そうとする考え方だ。
 ワーク・ライフ・バランスにおけるワークは、充実したライフと並列的・対立的なものとして切り離されている。しかし、ワーク・ライフ・インテグレーションにおけるワークは、ライフとともに相乗効果的に充実されるべきものと捉えられているのである。
 どちらが一方的に正しいとは言い切れないだろう。しかし、たとえば経済同友会が2008 年の段階で、「21 世紀の新しい働き方」としてワーク・ライフ・インテグレーションを紹介するとともに、ワーク・ライフ・バランスの考え方の「限界」を指摘していたという事実は、ここに明記しておきたい。
 そして国が現在推進している働き方改革の合言葉「ワーク・ライフ・バランス」は、恐らく将来的に「ワーク・ライフ・インテグレーション」へと昇華されることを前提にしてのものとも推察できるが、長江社長はこうした日本国内の議論よりもさらに早い時期に、自らの実体験として「ワーク・ライフ・インテグレーション」の妙味をアメリカでのワーク・ライフを通じ、吸収していたのだ。
 そしてそれを2000 年以降、六興電気において、柔軟に、しなやかに、実情に合わせつつ翻案し、経済同友会の提言よりも早く、みんな(関係者一同)が幸福になれるような会社経営を模索し、推進しようとしてきた。 そして、これからも推進しようとしている。そういえるのではないだろうか。(以下詳細は週刊電業特報第3088号に掲載しております。