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電業特報ロングインタビュー 建築設計事務所「アトリエM」代表牧野 芳子

2019/02/01

◇はじめに ( 女性人材を巡る業界潮流の問題点 )
 今月のゲスト《アトリエM》代表の牧野芳子さんは、フリーランスの建築設計士だ。アトリエ M の公式サイトの自己紹介欄にはこうある。
 「アトリエ M は代表・牧野(女性)が運営する設計事務所です。牧野はもともと会社勤めで秘書業務に従事していました。建築が好きで転身し、現在に至るわけですが、このお仕事をできることを嬉しく思います」
 本欄ではかねてより、第一線で活躍する女性の建築設計士、施工管理技士(建築・電気工事)、電気工事士などに単独インタビューをさせていただきたいと考えてきた。
 それもたとえば、建築設計士の場合なら、建築設計が好きで好きで、他の仕事に就いていたのだけれど「建築設計士への思い止まず、ついにその道に入ってしまった」というような人に。
 公式サイト上の牧野さんの自己紹介は、まさにそれを地でいくものといえる。
 ところで小紙はなぜ、そのような方々に取材をしたいと考えてきたのか? その一つの背景として、電気設備・電気工事業界を含めた、昨今の建設業界における、人手不足解消に向けた方策の《潮流》がある。
 電気設備業界を含む建設業界では近年、人手不足解消に向けた有力な方策として、シニア(定年後)世代の活用、女性人材の積極的な採用、外国人材の導入を《人手不足解消のための3大プロジェクト》と捉える風潮が強かった。
 実際これらの実現に向けた動きは、すでにさまざまなカタチで推進されつつあるわけだが、なかでも最も合理的かつ未開拓な分野と目されるのが、小紙でも再三特集してきたように女性人材の積極的な採用だ。
 女性人材の採用に積極的な業界企業に話を聞くと、女性人材はコミュニケーション能力などに優れている例が多い。現場仕事を中心とする電気設備業界・建設業界という観点からみても、総じて優秀な人が多い、という声をよく聞く。
 そして実際、工事部(主に施工管理部門だが)にも積極的に女性人材を採用している企業のなかには、女性人材の占める比率が高まるとともに、完工高も急成長している事例さえある。
 そのように女性人材の採用に積極的な企業もある半面、業界内には、単に人手が足りないから女性を積極的に採用しようというような風潮が、残念ながらまだ根強く残っているように感じる(それ以前の問題として、女性人材を現場仕事に導入すること自体に消極的な企業も相変わらず多いが)。同様の「感じ」はシニア世代の採用や外国人材の導入に関する論議にも常につきまとう。
 女性人材・シニア世代・外国人材の採用が進んで人手不足が解消していくのはもちろん結構なことなのだが、採用する側の意識がそうした「員数合わせ」的なものでとどまっているのであれば、本当の意味での女性人材・シニア世代・外国人材の「人財化」は図れないのではないだろうか。
 国が提唱する「働き方改革」(全面的にそれがいいかどうかはともかく)の精神にも、それは合わない。女性が男性と同様に輝く業界にならなければ、明るい未来はないのも自明だ。女性が男性と伍して働いているのが当たり前の業界にならなければ、業界は人材雇用面でこれまで以上に《ガラパゴス化》の道をたどるだろう。
 女性には向かない、男性だけに向いた仕事も、他業界に比べて建設や電設の工事現場には確かにある。しかし、それは筋肉系のパワーを必要とするような一部の業務だけであり、施工の技術や施工管理の技術には本来、性差はないはずだ。
 差が生じるとすれば、それは個人差であり、性差ではない。したがって、単に男性だから優位性があるとか、単に女性だから不向きだとかいう「ハナからの決め付け」は極力ないような、そんな業界であってほしい。
 員数合わせなどではない、男女が当たり前に一緒に働ける環境がいろいろな意味で構築されれば、今に至るも続く業界の3Kイメージは自然に緩和され、いつかは払拭に向かうのではないだろうか。
 そのためには建築士になりたい、電気工事士になりたい、施工管理をやりたいと積極的に願い、実際に遣り甲斐を感じ、嬉々として働く女性がたくさん増えていく必要がある。そうした女性を当たり前に受け止める業界になっていく必要がある。
 その先駆けとして現在、建設業界・電設業界で嬉々として働く女性、あえてそうした業界に飛び込んで自己実現を図り、奮闘している女性のお話を積極的にうかがっていくことには、だから大きな意味があると考える。
 小紙ではそのような観点から、繰り返しになるけれども、幅広い意味での建設業界で「生き生きと楽しく活躍する女性」にご登場をお願いしたいと考えてきたのだ。
 今回はその、記念すべき第1弾である。(以下詳細は週刊電業特報第3084号に掲載していおります)