都市政策

組合協会だより

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☆時代の変化に付いていけない都市政策

この9月22日、国土交通省主催の「第18回コンパクトシティ形成支援チーム会議」が開催されたとの報道が、さまざまな媒体でなされました。

コンパクトシティの定義は1970年代から、さまざまに取り沙汰されてきましたが、その意味合いは時代によって、刻々と変化してきています。当初は郊外地(周縁部)への都市の拡大を抑制して、中心市街地の空洞化(ドーナツ化現象)を防ぐという意味合いが強かったように記憶しています。

その背景には、かつて鉄道駅や路線を中心に市街地開発、住宅地開発の続いた時代から次第に、車社会の進捗を背景に鉄道駅に頼らない、郊外地への都市の拡大化現象が続いたという事情などもありました。

それは80年代から90年代の話ですが、21世紀に入ってからは少子高齢化の進行に付随して、市街地の拡大はいろいろな意味で不合理であることが改めて確認されました、同時に、交通弱者で車の運転もできない高齢者にとっては、駅周辺の中心市街地での暮らしが合理的であるとの判断から「中心市街地は高齢者中心」「郊外地は働き盛り世代が中心」というような風潮も出てきて、都市核は分裂気味になってきました。

こうなると、中心市街地や郊外地でそれぞれコンパクトシティ化を図り、それら複数の都市核をネットワークする、新たなコンパクトシティのあり方が議論されるようにもなってきました。

正直いって、そうした現象の変化とともに新たに出てくる「コンパクトシティの定義」に、国が振り回されているという印象は否めません。当然のごとく、その背景には、民間企業と国とのいろいろな意味での認識の違いや温度差があることも否めません。

このようなことをいつまでも繰り返したところで、決定的なコンパクトシティ化は実現しないのではないでしょうか。

ここは100年、200年の計を図るため、国や民間企業の代表(財界)は、高齢者世代、中高年世代、子育て世代などの世代別国民の幅広い意見を集め、抜本的な方針を、短期・中長期を含め、速やかにまとめ上げる必要があるでしょう。

ただし、それも、のんびりやっていると、時代の変化の前に次々と劣化していく可能性がありますので、本当の意味で速やかに方針を打ち立てていく必要性がありますよね。

ほんと、頼みますよ、社会的指導者を辞任する立場の皆様方!!

 

☆優れた意匠・環境考慮の保育園建築誕生

この9月20日、日本建築士事務所協会連合会(日事連)主催「2023年度日事連建築賞」の発表が行われ、メインの国土交通大臣賞には、なんと保育園の建物が選ばれました。

相坂研介設計アトリエが設計したこの保育園の名は「東立石保育園(民間・葛飾区)」です。社会福祉法人が運営する同保育園は、ゼロメートル地帯の地盤の上に建設されるという周辺環境を補うため、建物をコの字形に配置している由。らせん階段にも似た形状の屋上を園児たちの遊び場とする一方、水害などの際には、近隣住民の一時避難場所にも使える設計を施しているとのこと。

一度ぜひ、実際に見てみたいものです。