リノベーション

資材&工具の動き

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☆中古ビルのフルノリベによる再生事業

乃村工藝社とともに日本のディスプレイ業界を代表する企業として、また、商業施設・文化施設などの空間づくりに定評のある株式会社丹青社が、4月15日付でブスリリースを発信。「築50年超の旧耐震ビルをフルリノベーション」し「100年使えるオフィスビルとして蘇らせた」との声明を発表しました。

丹青社がフルリノベーションを手掛けたのは、日本橋に立地する7F建のオフィスビル。築後50年を超えて耐震補強もされていなかったこのビルをフルリノベーションし、今年3月に「リブラ東日本橋」としてオープンしたのです。

丹青社では都心部に立地する中小規模の古いビルを「より働きやすい環境のオフィスへとリノベーションし、不動産価値を向上させる事業《R2/不動産活性化》」(同プレスリリースより)を、近年手掛けており、昨年3月には同じ趣旨でフルリノベーションした「ウインドウ小伝馬町」の事例があります。

「ビルを百年使う」をコンセプトとするこの事業は、「既存のビルをできるだけ長く使う《ストック活用》の推進と、その結果としての「気候変動抑制」、すなわち脱炭素社会への貢献を目指してのことと、同リリースでは説明されています。

このR2事業の趣旨の中でも「気候変動抑制への貢献」について、丹青社は同社公式サイトにおいて、次のように説明しています。

[ビルは①材料、②施工、③運用の3つの段階で大量のCO2を輩出しています。既存のビルをできるだけ長く使うことにより、①材料、②施工によるCO2排出量を削減し、気候変動抑制に貢献します]

丹青社によるR2事業の推進は、今後、多方面で予測されるビルディングのフルリノベーションの、一つのモデルケースにもなるような気がします。

趣旨はそれとは違いますが、例えば五反田のランドマークとして前回の大阪万博が開催された1970(昭和45)年に竣工したTOCビル(地上13F、地下3F)は、築50年以上が経過して老朽化が激しくなったため、取り壊しの上、2021年には地上30Fの「新TOCビルディング」に建て替えられる予定でした。

しかし、解体費用の高騰などから取り壊しを9年間延長(2030年頃?)し、現在も、多目的ビルとして稼働しています。

9年後に実際、新ビルに建て替わるのか否かはわかりませんが、歴史的にも貴重な存在のTOCビルなどは、その独特の空間を都市の財産として守るためにも、丹青社方式のフルリノベーションをして、築100年まで頑張ってほしいものですよね。

それからこれは筆者の個人的な希望ですが、JR新橋駅前の名物雑居ビル「新橋駅前ビル1号館・2号館(1号館は地上9F地下4F、2号館は地上9F地下3F、どちらも1966/昭和41年開業)」や、西口駅前の名物雑居ビル「ニュー新橋ビル(1971/昭和46年開業、地上11F地下4F)」なども、取り壊しから建て替えの計画が何度も上がっては諸般の事情で、事業はなかなか進んでいません。

これらのビルもフルリノベーションであと半世紀、延命したらいいですよね。

いずれにしろ、今後はこうしたフルリノベーションによるビルの延命事業は、社会情勢から勘案しても増える一歩絵ではないでしょうか。注目したいですね。